長く続く、経済的不安。
新聞やニュースメディアでは日本は長期的な好景気が続いているとよく目にします。
あなたの生活や、あなたの周りではそれを感じ、享受しているでしょうか?
消費税増税、社会保険料のアップ、原材料高騰による生活必需品の価格アップ。
仮に可処分所得が年間300万円として、全てを消費するとしたら、消費税だけで年間30万円。10年で消費税だけで300万円。消費税がない時代に生きた方のほうが貯蓄できたのは明確なことです。(昔のほうが金利がよかったですからね)
かといって、現代ではお金が無いと生きてはいけません。
そして、人は一人では生きていけません。
ですから、生活するなかでいろいろな悩み・苦しみが生じます。
お金の問題、人間関係がその多くでしょうか。
会社では上司や部下、取引先。家庭では、妻・夫、子どもたち、両親のこと。
果たしてあなたの今の暮らしはどうでしょうか?うまくはいってますでしょうか?
考えてみて下さい。こういった悩みは現代に始まったことでしょうか。
いえそうではありません。人類として誕生して以来からありました。
仏教について
お釈迦様は今から2500年前に、「一切皆苦」であり、人生は思い通りにならないと説かれています。
仏教には八苦(はっく)という8つの苦しみを挙げています。
- 生苦・・・生まれること。
- 老苦・・・老いていくこと。体力、気力など全てが衰退していき自由が利かなくなる。
- 病苦・・・様々な病気があり、痛みや苦しみに悩まされる。
- 死苦・・・死ぬことへの恐怖、その先の不安。
- 愛別離苦(あいべつりく)・・・ 愛する者と別離すること
- 怨憎会苦(おんぞうえく) ・・・怨み憎んでいる者に会うこと
- 求不得苦(ぐふとくく)・・・求める物が得られないこと
- 五蘊盛苦(ごうんじょうく) ・・・五蘊(人間の肉体と精神)が思うがままにならないこと
1〜4を四苦、1〜8までの八苦で、四苦八苦とよく言われています。
これら苦しみを脱却することについて、ブッダは八正道という8つの修行をすることだと言われています。
八正道については説明が長くなるので、こちらを御覧ください。
でもこれらの修行をしなければ、苦は無くならないのでしょうか。
現代社会において、もっとシンプルなことができないのでしょうか。
無心について
それは、
無を感じる、無心になるということです。
近年、マインドフルネスという瞑想が逆輸入で流行っていますが、これは西洋の考えが取り組まれており、ビジネスに活かすのが最終的な目的となります。
無を感じる、無心になるということは、
何に対しても執着を離れるということです。
我執・自我(エゴ)がある限り、「ああなりたい」「あれが欲しい、これが欲しい」という悩みは尽きません。しかし、全てを思い通りに手に入れるということがどれほど大変なことか、あなたはよく理解されていると思います。
自分が手に入れたい地位や名誉、お金、健康、人間関係、それらが手に入らないから、それが苦悩になります。
手に入らないと思う将来への不安もまた苦となります。
手に入らないだけでなく、今の状態が崩れていくことに対しても苦悩を感じます。
元来、人間は何も持たず生まれ、何も持たず死んでいきます。
生きている間は、自我(エゴ)により、いろんな苦悩を抱えていきます。
今の悩みが苦となり、将来への不安もまた苦となります。
本当は何も無い世界
現代科学は、この世界について研究し、成り立ちから未来について、人の役に立つように解析・活用をしていこうとしています。
しかし、物質的な成り立ちを研究する、最新の量子力学では、突き詰めていくと、この世は現実ではなく、ホログラムであると唱える研究者がいます。
つまり、科学で解明していくと、この世はリアルでは無いということがわかってきたということです。
仏教においては2500年も前から、この世は一切空である、つまり何も無いと説いています。
親鸞聖人
「火宅無常の世界は、万のこと皆もって空事・たわごと・真実あること無し」
聖徳太子
「世間虚仮 唯仏是真」世間は虚仮なり。唯仏のみ是れ真なり。
日本においても多くの先人たちが、この世は存在しないと説いています。
しかし、その中で生きている(と思っている)
こう書いている私も坊主でありながら、仕事を持ち、家庭を持ち、生活をしています。
毎日、苦悩の連続です・・・。
今日の会議は長引きそうで憂鬱だとか、一日中クレーム対応、障害対応に追われグッタリ・・・、さらに家に帰ったら妻から小言を言われ・・・。
といって、給料も上がるわけでもなく、贅沢ができるわけでもなく。。
あなたも今日あったこと、昨日あったことを思い返してみて下さい。
・・・・いかがでしょうか?
もちろんうまく行く日もあるでしょう。
しかし、すべてパーフェクトに自分の思い通りに行く日というのは無いことでしょう。
それは死を迎えるまで続きます。
無になるには訓練が必要
先程も言いましたが、これは現代社会だからの悩みではなく、人間の営みが開始されてから以後、同じです。
もちろん現代では食べ物や住むところの悩みは昔に比べて少なくなってきたかと思います。
ブッダは2500年も前にどうして人は悩むのか、それを明らかにしています。
そしてどうすればいいのかも・・・。